介護士,給料

実際どうなの?みんなが気になる介護業界の給料事情を一挙大公開!

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皆さんは、介護職についてどのようなイメージを持っていますか?

恐らく多くの方が”介護職=給料が安い”と、収入の低さをイメージするのではないでしょうか。確かに他業界と比べて平均年収が低いことが、仕事選びでは不安になりますよね。

しかし介護職の昇給を目的とした行政の対策が生まれ、介護職の収入も今後上がっていくと予想されます。さらに資格や働き方など自分次第で昇給も可能です。

そこでこの記事では、気になる介護業界の給料事情を隅から隅まで徹底的に解説しました。介護職への転職を考えている方はもちろん、介護職についてあまり知らない人もぜひチェックしてみてください。

介護士の平均年収は361万円

まずは介護士の平均年収を見てみましょう。

厚生労働省のデータによると、介護職員の平均給与額は、ひと月あたり300,970円。年収に換算して、361万1,640円です。

月収の内訳は次の通りです。

平均給与額(300,970円)の内訳

内訳金額
基本給181,220円
手当71,330円
一時金(賞与等)48,420円
参照:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給額の1/6)※手当は職務手当、処遇改善手当、通勤手当、家族手当、時間外手当など※一時金は賞与やその他の臨時支給分として4~9月に支給された金額の1/6

では、実際に手取り額はいくらか計算してみましょう。ひと月あたりの手取り額は額面の75~85%程度が一般的です。したがって、次のように計算すると大まかな手取り額がわかります。

手取り額=年収×(0.75~0.85)÷12(カ月)

これを基に手取り額を計算すると、介護士の平均手取り額は月24万円だと分かります。 

平均月給年収月の手取り額
300,970円361万1,640円240,776円
※手取り額は、年収×0.8÷12(カ月)で計算

下記に、年収300万~600万円における手取り額の目安を簡単にまとめました。

年収手取り額(ひと月あたり)
300万円20万円
400万円約27万円
500万円約33万円
600万円40万円
※累進課税を考慮し、手取りが8割と仮定して計算

介護士の給料事情を徹底解説 

この章では、次の5つの観点から、介護士の給料事情を詳しく解説します。

  1. 施設別
  2. 雇用体系別
  3. 保有資格別
  4. 勤続年数別
  5. 年齢別

施設で見る介護士の給料 

まずは施設による給料の違いを比べてみましょう。

今回は厚生労働省のデータに基づき、次の6つの施設で比較します。

【施設別】介護士の給料(年収)
介護老人福祉施設
398万7,120円
介護老人保健施設
380万8,200円
訪問介護事業所
350万3,160円
介護療養型医療施設
342万4,320円
通所介護事業所
315万4,800円
認知症対応型共同生活介護
216万4,920円
施設形態施設の特徴
介護老人福祉施設終身介護を受けられる施設
介護老人保健施設リハビリや医療的ケアが必要な高齢者が自宅復帰を目指し、一時的に入居する施設
訪問介護事業所介護士が直接自宅を訪問して介護サービスを提供する施設
介護療養型医療施設重度の高齢者が医療処置やリハビリを受けられる施設
通所介護事業所自宅で過ごす高齢者の外出機会や他者との交流ができる施設
認知症対応型共同生活介護認知症高齢者の共同生活を目的とした施設

ここからは、それぞれの施設の紹介を簡単に交えながら、施設別の介護士の平均給料と手取り額を解説していきます。

①介護老人福祉施設

介護老人福祉施設での平均給料は月332,260円。手取り額は265,808円です。

介護老人福祉施設とは、在宅介護が困難な高齢者を対象にした入居型の施設で、一般的には特別養護老人ホーム(特養)を指しています。

②介護老人保健施設

介護老人保健施設での平均給料は月317,350円。手取り額は253,880円です。

介護老人保健施設とは、リハビリや医療的ケアが必要な高齢者が、在宅復帰を目指して一時的に入居することができる施設です。

③介護療養型医療施設

介護療養型医療施設での平均給料は月285,360円。手取り額は228,288円です。

介護療養型医療施設とは、痰の吸引やインスリン注射などより専門的な医療処置が必要な高齢者に対し、看護師による手厚いケアやリハビリを提供する施設です。

④訪問介護事業所

訪問介護事業所での平均給料は月291,930円。手取り額は233,544円です。

訪問介護事業所とは、一人で生活するのが難しい高齢者を対象に、介護士が直接自宅へ訪問して身の回りのサポートや介護を行う施設です。

筆者が勤めたことのある訪問介護事業所では、支援内容に応じて初任者研修の修了者は時給1,460~1,810円、介護福祉士は時給1,460~1,810円でした。

近隣の同業他社と比べると比較的高い方でした。同業他社では、介護福祉士資格を持っていても時給が1,000円前後の施設もあり、勤め先による差が大きいと感じました。

⑤通所介護事業所

通所介護事業所での平均給料は月262,900円。手取り額は210,320円です。

通所介護事業所とは、自宅で過ごす高齢者の外出機会や他者との交流、入浴や食事など日常的な介護を提供する施設です。

筆者が勤めたことのある通所介護事業所は、未経験者や初任者研修の修了者は時給が900円程度、介護福祉士が950円でした。

近隣の同業他社と比べると時給が低めに設定されており、より時給の高い施設へ転職する人も多かったことを記憶しています。

⑥認知症対応型共同生活介護

認知症対応型共同生活介護での平均給料は月180,410円。手取り額は144,328円です。

認知症対応型共同生活介護とは、一般的にはグループホームとして知られており、認知症の高齢者が少人数で共同生活をするための施設です。


最後にご紹介した施設別の給料をまとめてみましょう。年収が高い順に施設を並べました。

施設形態平均給料
(月)
手取り額(月)
介護老人福祉施設332,260円265,808円
介護老人保健施設317,350円253,880円
訪問介護事業所291,930円233,544円
介護療養型医療施設285,360円228,288円
通所介護事業所262,900円210,320円
認知症対応型共同生活介護180,410円144,328円
参照:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

※平均給料額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給額の1/6)※手取り額は8割(平均給料×0.8)と仮定して計算

雇用体系で見る介護士の給料

次に、雇用体系別の給料を解説します。

雇用体系には正社員やアルバイト・パートなどがあり、雇用体系によって「月給」「日給」「時給」と給与制度が異なります。

そこで、今回は月給、日給、時給の労働者について、それぞれの常勤介護士・非常勤介護士の給料を比べてみましょう。

①月給の労働者

雇用体系平均給与額(月)
常勤
(正社員)
300,970円
非常勤
(契約社員、パート・アルバイト)
209,470円
※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給額の1/6)

②日給の労働者

雇用体系平均給与額(月)
常勤
(正社員)
215,250円
非常勤
(契約社員、パート・アルバイト)
157,280円
※平均給与額は、基本給(日額)×実働労働日数+手当+一時金(4~9月支給額の1/6)

③時給の労働者

雇用体系平均給与額(月)
常勤
(正社員)
213,590円
非常勤
(契約社員、パート・アルバイト)
105,323円
※平均給与額は、基本給(時額)×実働労働日数+手当+一時金(4~9月支給額の1/6)

このように、常勤と非常勤では月の平均給与に最大10万円近くの差があります。


では、ここまで紹介した雇用体系別の給料をまとめてみましょう。

常勤
(正社員)
非常勤
(契約社員、パート・アルバイト)
月給300,970円209,470円
日給215,250円157,280円
時給213,590円105,323円
★:最高額 ★:最低額
参照:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

保有資格で見る介護士の給料

ここからは、保有資格別の給料を比べてみましょう。

介護業界では、介護士の他にも介護支援専門員(ケアマネジャー)・看護職員・リハビリ職など、様々な職種が互いに連携を図りながら、日々の介護サービスに従事しています。

介護スタッフや事務職員のように資格がなくても働ける職種もありますが、介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護職員など、資格を持っていなければ働けない職種もあります。

資格が必要な職種は、次のようなものがあります。

職種必須資格
介護スタッフ
(無資格)
なし
初任者研修介護職員初任者研修の修了
実務者研修介護職員実務者研修の修了
介護福祉士介護福祉士
介護支援専門員
(ケアマネジャー)
ケアマネジャー
生活相談員
支援相談員
次のうちいずれか
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・社会福祉主事任用資格
看護職員看護師、准看護師
調理員調理師免許
管理栄養士
栄養士
管理栄養士免許、栄養士免許
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
機能訓練指導員
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士

機能訓練指導員の場合は次のうちいずれか
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師
・鍼灸師(要実務経験)
・看護師または准看護師
事務職員なし
管理職施設形態より異なる

このように、どの資格を保有しているかで働ける職種や給料も異なります。ここからは厚生労働省のデータに基づき、それぞれの資格について簡単に紹介しながら、資格別の給料を解説していきましょう。

※手取り額は8割(平均給料×0.8)と仮定して計算

①介護スタッフ(無資格)

無資格の介護スタッフの平均給料は月252,490円。手取り額は201,992円です。

介護職は、無資格・未経験でも介護スタッフとして働くことが可能です。無資格からスタートして経験を積み、その後介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの資格を取得する方も沢山います。

②初任者研修

初任者研修の平均給料は月273,920円。手取り額は219,136円です。

初任者研修は、未経験の方が最初に取得できる資格です。仕事を始める前に受講して、基本的な介護知識を身に付けることもできます。

③実務者研修

実務者研修の平均給料は月288,060円。手取り額は230,448円です。

実務者研修は、初任者研修よりももう一歩深い内容の介護知識や介護技術を習得できる資格です。

また実務者研修の修了が介護福祉士試験の受験資格に義務付けられているため、介護士としてのスキルアップには欠かせない重要な資格です。

④介護福祉士

介護福祉士の平均給料は月313,920円。手取り額は251,136円です。

介護福祉士とは福祉系の国家資格のひとつです。既定の実務経験と実務者研修の修了を満たすと受験資格を得ることができます。介護知識や経験の証明にもなるため、転職にも有利です。

⑤介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員の平均給料は月350,320円。手取りは280,256円です。

介護支援専門員は、利用者さんと介護施設の橋渡しをする役割があります。介護支援専門員として働くには、「介護支援専門員実務者研修受講試験」の合格が必要です。

⑥生活相談員・支援相談員

生活相談員・支援相談員の平均給料は月321,080円。手取り額は256,864円です。

生活相談員や支援相談員は資格名称ではありませんが、介護施設や介護老人保健施設(老健)の入居者の相談に乗る大切な仕事です。

相談員に特化した資格はありませんが

  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 社会福祉主事任用資格

のいずれかを保有している必要があります。

⑦看護職員

看護職員の平均給料は月372,070円。手取り額は297,656円です。

看護職員は、利用者さんの健康チェックや医療的ケアを行うため、看護師免許または准看護師の資格が必要です。看護師学校や養成所を卒業し、看護師試験に通ると資格を取得できます。

⑧調理員

調理員の平均給料は月254,450円。手取り額は203,560円です。

調理員は、利用者さんの毎日の食事を調理して提供する仕事で、調理師免許が必要です。調理学校を卒業するか、2年以上の実務経験を経て調理師試験に合格すると取得できます。

⑨管理栄養士、栄養士

管理栄養士免許、栄養士免許の平均給料は月309,280円。手取り額は247,424円です。

管理栄養士や栄養士は、利用者さんの健康を考えて献立を考えて調理する仕事で、管理栄養士免許や栄養士免許が必要です。

⑩リハビリ職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、機能訓練指導員)

リハビリ職の平均給料は月344,110円、手取り額は275,288円です。

リハビリ職には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・機能訓練指導員などの種類があります。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士はそれぞれの名称の資格が必要ですが、機能訓練指導員はこれら3つに加えて

  • あん摩マッサージ指圧師
  • 鍼灸師(要実務経験)
  • 看護師または准看護師

を合わせた計6つのうち、いずれか1つを取得していれば働くことができます。

⑪事務職員

事務職員の平均給料は月307,170円。手取り額は245,736円となります。

事務職員は無資格でも問題なく働くけるため、事務職員になるための必須資格はありません。ただ「介護事務管理士」「介護保険事務士」など介護事務に特化した民間資格はいくつかあるため、スキルアップを目指して取得してみるのもよいでしょう。

ただし介護事務に関する資格取得が給料に反映されるかは、施設ごとに異なるため、詳細は各施設に確認しましょう。

⑫管理職

管理職の平均給料は月322,890円で、手取り額は258,312円です。

管理職には、すべての介護施設に共通した必須資格がありません。勤務する施設の種類ごとに必要な資格が異なります。そのため気になった施設の必要な資格・条件を調べることが大切です。


ではご紹介した保有資格別の給料をまとめてみましょう。

職種平均給与額手取り額
介護スタッフ(無資格)252,490円201,992円
初任者研修273,920円219,136円
実務者研修288,060円230,448円
介護福祉士313,920円251,136円
ケアマネ350,320円280,256円
生活相談員、支援相談員321,080円256,864円
看護職員372,070円297,656円
調理員254,450円203,560円
管理栄養士、栄養士309,280円247,424円
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
機能訓練指導員
344,110円275,288円
事務職員307,170円245,736円
管理職322,890円258,312円
参照元:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給額の1/6)

勤続年数で見る介護士の給料

次に勤続年数別の介護士の給料を見てみましょう。どのような仕事でも言えますが、勤続年数が長ければ給与額も上がります。介護業界も同じです。

つまり1年ごとに勤務先を変えている人より、1つの施設で10年間勤務している人の方が給与は高くなると言えます。

では介護士の場合は勤続年数ごとにどのような違いがあるのか。厚生労働省のデータに基づいて比べてみましょう。

勤続年数平均給与額手取り額
1年270,740円216,592円
2年278,550円222,840円
3年282,700円226,160円
4年284,300円227,440円
5年295,450円236,360円
10年以上334,140円267,312円
参照:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給額の1/6)※手取り額は8割(平均給料×0.8)と仮定して計算

もし1つの施設で5年働くと、月の手取り額が約20,000円アップすることが分かります。勤続年数が長ければ長いほど、給料が上がることも一目瞭然ですね。

年齢で見る介護士の給料

最後に厚生労働省のデータに基づき、年齢別の介護士の給料を比べてみましょう。

年齢男性女性
29歳以下286,920円
(229,536円)
274,450円
(219,560円)
30~39歳325,930円
(260,744円)
292,530円
(234,024円)
40~49歳343,420円
(274,736円)
298,610円
(238,888円)
50~59歳314,030円
(251,224円)
300,260円
(240,208円)
60歳以上271,610円
(217,288円)
272,760円
(218,208円)
★:最高額 ★:最低額 ( )内は手取り額
※手取り額は8割(平均給料×0.8)と仮定して計算
参照:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

女性よりも男性の方が、平均給料が高いです。また平均給料が最も高くなる年齢にも男女差があります。

【番外編】なぜ介護職の給料は安いのか?

まずは、以下の表をご覧ください。これは、厚生労働省が公表した業種別の平均年収です。

★:最高額 ★:最低額

業種平均年収手取り額(年収)
製造業311万4,000円249万1,200円
情報通信業386万円 308万8,000円 
卸売業・小売業332万3,000円265万8,400円
医療・福祉293万7,000円 234万9,600円 

参照元:平成30年賃金構造基本統計調査の概況

※手取り額は8割(平均年収×0.8)と仮定して計算しています。

介護職は「医療・福祉」に含まれます。ここには医療・福祉に関するすべての職業が含まれるため介護職だけの数字ではありませんが、他業種と比べても平均年収の低さは一目瞭然です。

そこで、なぜこの業界は給料が低いのか、介護職の給料が安い原因に焦点を当ててみましょう。

介護職の給料の安さには、以下のような理由が考えられます。

  1. 国が設定する給料が低い
  2. 経営者の内部留保が多い
  3. 専門性が低い

では、ひとつずつ順に解説していきましょう。

国が設定する給料が低い

日本では介護報酬の金額が低く設定されているのが現状です。

介護サービスの費用は、介護保険から賄われており、利用者さんは収入や過去の未納期間などに応じて負担する金額が異なります。

そして、介護保険が適用されるサービスを提供した介護施設には、その対価として介護報酬と呼ばれる報酬が支払われ、介護士の給料にも充てられます。

したがって、介護報酬として施設に入る金額が少ないことが、介護士の給料の低さにつながっていると考えられます。

経営者の内部留保が多い

企業の経営者が社内で貯蓄することを内部留保と言い、介護施設でも行われているケースがあります。

介護保険の変更や何らかのトラブルが発生しても、変わらずスタッフに給料を支払ったり、安定して経営を続けていったりするためには内部留保は必要だと言えます。

しかし、内部留保が多い施設ほど介護士への還元率も下がってしまうため、結果的に給料が低くなってしまうことがあります。

専門性が低い

介護の仕事は、食事や入浴、着替えなど生活に身近な業務が多いことから、プログラマーや看護師と比べると専門性が低い職業だと言えます。

また、無資格・未経験でも働くことができるため、医師や管理栄養士のように専門の学校での勉強や資格を必要とする職業や、プログラマーなどのように特殊な技術を必要とする職業に比べると、仕事に対する単価が低くなってしまうのです。

介護は単価の低い仕事ですが、少子高齢化が加速する日本にとってなくてはならない仕事です。

まずは介護職の低賃金を解決しなければ人手不足も解消できず、いつまで経っても現状が変わりません。

そこで、介護職の給料を少しでも助けるため、平成24年に「介護職員処遇改善加算」という制度が創設されました。

介護職員処遇改善加算とは?

介護職のスタッフがキャリアアップできる仕組み作りや、職場環境を改善するために計画・実行した施設を対象に、介護職員の給料を上げるための報酬を支給する制度です。

キャリアアップの仕組みや職場環境改善の計画を立てた施設が各自治体に報告すると、自治体は、その報告内容に基づき給料の上乗せ分の費用を加算した介護報酬を施設へと支給します。

各施設は、支給された報酬を介護職員へ給料として支給し、介護職員の給料が上がる仕組みとなっています。

介護職員処遇改善加算は、現場で介護業務に携わっている人が対象となるため、正社員だけでなく派遣社員やパート、アルバイトのスタッフも支給の対象となります。

ただし、自治体から支給された金額をどの介護スタッフにどれだけ上乗せするかは、各施設の方針に任されているため、すべての介護スタッフが平等に加算されるとは限りません。

そのため、介護施設は介護職員処遇改善加算によって得た報酬の支払い方法を介護スタッフに伝えるよう求められています。

また、介護職員処遇改善加算は給料明細の「処遇改善手当」「処遇改善加算」などの項目にも掲載されるため、自分で確認することも可能です。

介護職の給料の安さが問題視されていますが、介護職員処遇改善加算のように給料アップのための対策が取られているのも事実。

今後も新たな対策や制度が生まれ、介護職の給料は上がっていくと考えられます。

介護士として給料を上げるための5つのポイント

上記でご紹介した介護職員処遇改善加算のように介護士の給料を上げる対策も取られていますが、自分の力で給料を上げることも可能です。

ここでは、介護士として給料を上げるためのポイントを解説しましょう。

意識したいポイントは、以下の5つです。

  1. 資格を取得する
  2. 夜勤勤務を増やす
  3. 派遣介護士として働く
  4. 役職を目指す
  5. 勤続年数を増やす

では、ひとつずつ見ていきましょう。

資格を取得する

2章でご紹介したように、資格取得によって給料を上げることが可能です。

例えば、無資格者と有資格者の給料の違いをもう一度比べてみましょう。

資格平均給与額(ひと月あたり)手取り額(ひと月あたり)
無資格252,490円201,992円
初任者研修273,920円219,136円
実務者研修288,060円230,448円
介護福祉士313,920円251,136円
介護支援専門員(ケアマネジャー)350,320円280,256円

参照元:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

このように、資格を取得しているだけで数万円の差があります。

介護福祉士は、受験資格に実務経験や実務者研修の修了が条件となっていますが、初任者研修は介護が初めての人でも受講できるため、まずは初任者研修の資格取得を目指すのがおすすめです。 

夜勤勤務を増やす

労働基準法により、22~5時までの7時間は深夜割増賃金として時給を25%アップすることが定められています。

したがって、ひと月の勤務日のうち数日を夜勤にするだけでも時給が上がり、収入を増やすことができるのです。

また、日勤をせず夜勤のみ勤務する夜勤専従スタッフとして働くと、勤務日の時給がすべて25%アップになるため、より高い給料を得ることが可能です。

例えば、仮に時給1,200円の人が夜勤を行った場合の夜勤手当は、以下のようになります。

基本給(時給)1,200円
夜勤手当を含んだ時給1,500円(1,200円×1.25)
22~5時までの合計報酬10,500円(1,500円×7時間)

派遣介護士として働く

派遣介護士は、パートやアルバイトと比較して時給が高い傾向にあります。

それでは、東京都を例に、派遣介護士とパート・アルバイトの介護士の平均時給を比べてみましょう。

派遣介護士パート・アルバイトの介護士
1,690円1,162円

参照元:平均時給チェック|【リクナビ派遣】関東で人材派遣の求人や派遣会社を探そう!東京都の平均時給|【タウンワーク】でバイトやパートのお仕事探し

※2020年3月23日現在。

このように、同じ介護士でも雇用体系によって約500円の差があることが分かります。

したがって、派遣介護士として勤務することで少しでも給料を上げることが可能です。

役職を目指す

フロアリーダーやサブリーダー、管理職などの役職を目指すのも給料アップの近道です。

介護施設には、施設全体の責任者である施設長や管理者のほかにも、デイサービスやショートステイなどの部門ごとにフロアリーダーがいます。

これらの役職に就くと給料に役職手当が加算されるため、収入を増やすことが可能です。

未経験からいきなり役職に就くことは難しいですが、「将来的にはリーダーをやってみたい」など熱意を伝えておくと、経験年数やスキルに応じて昇格できる可能性もあります。

役職手当は施設により異なりますが、月々10,000~20,000円程度が相場です。

勤続年数を増やす

勤続年数を増やすのも給料アップに効果的です。長く勤めれば勤めるほど、平均給与額は高くなります。

したがって、短期間で転職を繰り返さずひとつの施設で長年働くのがポイントです。

勤続年数平均給与額(ひと月あたり)
1年270,740円
2年278,550円
3年282,700円
4年284,300円
5年295,450円
10年以上334,140円

参照元:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

では、これまでご紹介した給料アップのポイントをまとめてみましょう。

給料アップの方法給料アップの主な理由
資格を取得する資格手当が付く
夜勤勤務を増やす夜勤手当が付く
派遣介護士として働くパート等に比べて平均時給が高い
役職を目指す役職手当が付く

まとめ

いかがでしたか?

介護士の平均年収は361万円、手取りで言うと約24万円です。

今回は、介護業界の給料事情について隅々まで徹底的に解説しました。

「介護職=給料が安い」ではなく、保有資格や勤続年数、そして介護職員処遇改善加算など行政の対策などによって介護職の給料アップも期待できることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

今回ご紹介した内容を参考に、介護士としての働き方や取得する資格などを考えてみてください。